世界が雨に啼く音

I CAN'Tで語る言葉たち…   

戻れない

バイクで見知らぬ下町を走っていたら急に「ウメちゃん待ってよ」
という少女の声が聞こえた
梅子、梅乃…どう組み合わせて考えてもずいぶん古風な名前の子供だなと思っていると
あたりの様子の異変に気付いた

sa fier o bamaaman pin pan...

私の回りで流れる景色には、電信柱も信号も標識もなく、地面はあぜ道で、木造の家屋が建ち並んでいた
こんな昔を思わせる場所があったのかと思いつつもバイクを走らせていると
わき道から幼い少女2人が飛び出してきたのだ
極めて深いおかっぱ頭で、黒いスカートとサスペンダー、手には独楽を持っている
私の目の前を通り過ぎてゆくと、どうにも時代の似つかない風貌に、妙な不安を抱き、バイクを押しながら歩き始めた

店の看板やポスターはすべて右から文字が書いており、すれ違うのはロイド眼鏡をかけている男が多く
甚平などのラフな服装をし、こちらを見て皆驚いている
その異様さに怖くなった私はバイクで足早に過ぎ去ろうと走り出すとやがて、背の高い建物が見える開けた場所に出たのだが
車はかろうじているものの、それは現存しているのが難しいほど古く、馬車も走っているのだ
そこへ出て初めて色のついた看板を見たのだが、やはりここはどういう理由からか、かなりの昔の世界に来てしまったようだ
人通りの多いその場所へ来てから人々の視線が非常に痛く、どこへ行っても皆にポカンと口を開け驚かれて心落ち着く暇もない

そんなことをしてる間にも日が暮れて行く…


私は一体どうしてこんな場所へ迷い込んでしまったんだろうか…?