世界が雨に啼く音

I CAN'Tで語る言葉たち…   

ヴァルナローザの塔

 

聖戦士ロフェスは長旅の果てにようやくたどり着くことが出来た。
しかし天界まで続くこの塔は入り口すら見つけられない。一体どうしたらいいのだ…
ヴァルナローザの塔…8600年前、聖騎士団レノマ・ニュールの騎士団長アーガス・ディルメッドは当時この塔から溢れ出す暗黒の気によって魔物が世界に蔓延っていると考えていた。
そこで光の神官の光魔法で封じ込めようとしたのだ。
光の魔法を唱え始めると塔を守っていた有翼暗黒獣、通称ダークデビルが塔の上から降りてきて皆殺しにしてしまった。
それから災いの塔として近づくことすら誰もしなくなった。ロフェスは世界を魔物から守り、平和に変えるため8600年の掟を破り、塔を調べ始めた。
古代文明による紋章や、何かの古代文字が記されている…これが何の言葉なのかは分からないが、聖に反応して暗黒を引き起こすことは分かっている。
命を無造作に犠牲にしても何も変わらないのだから、この塔の謎を解き明かすことを先に考えよう。
ヴァルナローザの塔から少し離れたところにルムナの村がある、そこの村長なら何か知っているかもしれない。
ロフェスはルムナの村長に事情を説明すると、古い書物を取り出し、話を始めた。
それは8600年前、ヴァルナローザの塔で壊滅した聖騎士団レノマの団長アーガスの妻が書き記した日記だ。
その時代に使われていた古代の言葉で、聖騎士団レノマは呪われた塔により壊滅、剣さえ弾き返される巨人の石像が動き出し、ダークデビルが押し寄せた。
それは聖騎士団レノマに伝わる闘いの前のまじないの言葉と共に現れた。
「マタトゥール・ナディルナル・アル・アッヘンム」
意味までは記されていない。村長は、このまじないの言葉に鍵があるのではないかと言った。

創世ヘガンザルド期143年厳しい吹雪が吹き荒れる日だった。

塔には数キロ包囲に柵が立てられ、誰も近づくことが出来ない。
ロフェスは吹雪の中塔の呪いを封印する決意を胸に柵を越えて歩き出した。
そして、着くなり塔に触れ、静かに呟いた。

「マタトゥール・ナディルナル・アル・アッヘンム…」

すると突如空が黒い雲に覆われ始めた。ロフェスは剣を抜き、その時を待っていると、塔の上からけたたましい鳴き声と共に魔物が何匹も降りてきた。
「さあ…化け物ども、かかって来い。この世界に光を取り戻すのだ。」
ロフェスの剣技は伝説と言われる程に匠で、誰にも負けた事がないというその言葉通り、ロフェスは剣を魔物に一振りすると頭蓋骨から真っ二つに裂け、地面に崩れ落ちた。

「我が光の神に洗礼を受けた力、無駄にはしない。この世界に光が戻るなら、身体朽ち果てるまで闘い続ける」

[続く]